会社では必要経費というものがありますが、サラリーマンにはありませんでした。
でも、税制改正が行われて、スーツが必要経費に認められることに。
本当に、スーツは経費として落ちるのでしょうか?
そのからくりを紐解いていきたいと思います。
サラリーマンの必要経費にスーツは含まれる?
経費はどうなっているの?
今までは、サラリーマンに必要経費というものはなく、会社で年末調整をして終わりでした。
ところが、平成25年(2013年)から新しい法律が適用されることとなりました。
正しくは、今までも必要経費は認められていたのですが、会社が全部手続きをしてくれているので、よくわからないだけです。
そして、認められていた範囲が非常に狭かったので、実質的に認められていても関係ない人がほとんどでした。
せいぜい、治療費などの保険費用位だったのです。
それが今回の法律の変更で、認められる金額が増えることとなり、雑誌や新聞・テレビなどで話題となったのが、事の真相というわけです。
じゃあ、結局どういうものなの?
簡単にですが、ご紹介しておきます。
サラリーマンは給料をもらっています。
そして実は、そこから必要経費を差し引いた額から計算した金額を税金として払っています。
こんな感じです。
この内、必要経費の額は年収で決められています。
この必要経費に当たる金額を給料から引くことを、給与所得控除(きゅうよしょとくこうじょ)といいます。
必要経費の額=給与所得控除の額
というわけですね。
そして今回の新しい法律では、特定の決められた内容にかかる金額が、給与所得控除の金額を超えた時に、特別にその分も経費として認める、というものです。
この決められた内容を経費として給料から引くことを特定支出控除(とくていししゅつこうじょ)といいます。
その特定支出控除の対象の中に、次のようなものがあります。
このうちの、事務服などの衣服費にスーツが含まれているとされています。
これが、サラリーマンの必要経費としてスーツが認められている理由なのです。
テレビや雑誌で取り上げられているのは、そういったことです。
サラリーマンの必要経費は申告が必要?
じゃあ、本当にスーツが必要経費として認められるには、どのような手続きが必要なのでしょうか?
・確定申告が必要
サラリーマンにとって、最大のめんどくさいポイントではないでしょうか^^
基本、会社におまかせなので何をどうやっていいのかさっぱりわかりません。
確定申告という言葉をきいただけで、
「めんどくさー、やーめたっ!」
となりそうですよね。
・会社に認めてもらう。
さっきの条件をもう一度
つまり、会社に経費として認めてもらわなければなりません。
必要と認められなければ、スーツが経費として落とせません。
そして、認めてもらうためにはこんな書類を書いてもらわなければいけません。
・・・会社もめんどくさがって書いてくれない可能性ありませんか?
小さい会社だと特に、ね。
・スーツを結構買わなきゃいけない
また別の文章を持ってきます。
そうです。給与所得控除を超えた金額しか対象として認められません。
具体的には、
・年収400万円 67万円以上
・年収500万円 77万円以上
どうですか?
そんなにスーツ買いますか?
普通は、2~3万円のスーツを数着買って、数年着回すものじゃないでしょうか?
この金額のスーツ代を、会社が認めるでしょうか?
1着十数万円以上のスーツが何着も必要なのは、弁護士などの職業です。
実際、この制度を利用しているのも、そういった職業の方たちがほとんどです。
他にもいくつかありますが、もうこれだけで十分でしょう。
大多数のサラリーマンは、スーツを必要経費にするには、ハードルがかなり高いというわけです。
というより、まず無理だと言わざるを得ません。
サラリーマンの節税はふるさと納税のほうがまし?
さて、会社が認めてくれて、書類も書いてくれた。
給料が300万円しかないけど、取引先が大会社ばかりなので、無理をしてでも良いスーツをそれなりに揃えた。70万円分スーツを買った!
と仮定します。(たぶん、そんな人いないと思いますが・・・)
その時はどうなるのでしょうか?
なんと、
節税額はたったの8,000円なのです。
式は以下のとおりです。
(70万円ー54万円)×5%=8,000円
どうでしょう。なんか、とっても報われない気分になるのは私だけでしょうか?
頑張って頑張って、その結果がこれだけです。
こんなことなら、ふるさと納税の利用をおすすめしますヨ!
まとめ
結論としては、
サラリーマンの必要経費としてスーツは認められる。
でも、現実的に無理!!!
さてさて、この新しい制度は誰に向けた制度なのでしょうね。
耳障りのいいフレーズには、ご用心、ご用心。
最後までお読みいただきまして、有難うございました。